DelphiでファイルをコピーするときはWin32APIのCopyFile関数 (en)か、これをラッピングした(System.)IOUtilsのTFile.Copyなどを使うのが普通ですが、大きめのファイルだったり遅いデバイスだったり、あるいはその両方で、ファイルコピーに5秒以上かかるとWindowsに"応答なし"と判断されてしまうことになります。ファイルコピーを別スレッドで行ってもよいのですが(TFile.DoCopyの実装を見る限りPOSIX環境ではこれしかなさそう)、Windows環境であればWin32APIのCopyFileEx関数 (en)を使い、コールバック関数内でApplication.ProcessMessagesを呼び出すことでこの問題を回避することができます。ではまず(Winapi.)Windows.pas上のCopyFileExの定義を見てみましょう。
コールバック関数の型はTFNProgressRoutine=TFarProcと定義されていますが、TFarProcはというと、
となっており、やる気のなさ満点です(間違っちゃいないけど)。そこでまずCopyProgressRoutineコールバック関数 (en)の定義から用意します。
これを使ってCopyFileEx関数を再定義します。
これらの定義を使ってファイルをコピーしてみましょう。まずフォーム上にコピー元ファイル名とコピー先ファイル名を入力するためのEditを2つとコピー開始のButton、途中経過表示用のLabelを配置します。
これでファイルのコピー中に途中経過を表示できるようになります。またApplication.ProcessMessagesを呼び出すことでWindowsに"応答なし"と判定されることもなくなります(ただしイベントハンドラへの再入には十分注意が必要です)。
ここでは大きいファイルをコピーすることを想定しているため、Windows Vista以降ではdwCopyFlagsにCOPY_FILE_NO_BUFFERINGを追加指定しています(COPY_FILE_NO_BUFFERINGには功罪両面ありますが)。またファイルの上書きを許す場合はCopyFlagsにCOPY_FILE_FAIL_IF_EXISTSではなくて0を指定します(CopyFlagsにCOPY_FILE_FAIL_IF_EXISTSを指定したときにコピー先ファイルが存在しているとCopyFileExの戻値は0となり、GetLastError (en)はERROR_FILE_EXISTSを返します)。
さらにコピーの途中でキャンセルできるようにしてみます。フォームにキャンセル用のButtonと、privateメンバにBoolean型のフィールドFAbortedを追加します。
こんな感じです。コールバック関数がPROGRESS_CANCELを返してファイルコピーをキャンセルしたときはCopyFileExの戻値は0(エラー)となり、GetLastErrorはERROR_REQUEST_ABORTEDを返します。
さて、Delphi 2009以降でコールバックといえば無名メソッド、という連想が働きますが、それはまた次回。
→Win32APIのCopyFileExのコールバックを受け入れる (Gist)
2013年8月5日
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