またVMware Workstation、VirtualBox、Hyper-Vなどの仮想マシン環境を使う、という方法もありますが、これらはゲストOSに別途ライセンスを用意するか、評価版を使用する必要があります。MSDNに入っていれば検証用のライセンスが含まれていますが、そうでなければリテール版のライセンスを購入するか、評価版(サーバOSは180日、クライアントOSは90日有効)ということになります。ところが現時点(2026年2月)で評価版のVM(VHD)がダウンロードできるのはWindows Server 2025(英語版)のみで、クライアントOSはISOのみとなっています。このため評価期間が過ぎるとISOからインストールし直すことになり、これもあまりお手軽とは言えません。
そこでもう一つの選択肢として考えられるのがWindowsのPro/Ent/Edu SKUで使用できるWindowsサンドボックスです。これはホストのWindowsのOSファイルを使用するため軽量で、OSのインストールも不要です。
と、ここまでは前置きで、Windows 10では特に問題ないのですが、Windows 11では起動したWindowsサンドボックスのゲストOSのレジストリ上にフォントリンクが"SimSun-ExtG"(宋体拡張G)に対してしか登録されておらず、日本語をTahomaやSegoe UIで表示するGDIアプリケーション(DelphiのVCLアプリケーションなど)では正しく表示されなくなってしまっています。上に書いたようにWindowsサンドボックスではシステムファイルはホストOSのものをそのまま使用するため、フォントファイルもホストOSにあるものは全てゲストOSにも存在しています。つまりフォントリンクに関するレジストリをゲストOSに登録すればよい、ということになります。そこでカスタムWindowsサンドボックスでこれを解決してみます。
まずホストOSのフォントリンクのレジストリ設定をエクスポートします。レジストリエディタで HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\FontLink\SystemLink を開き、右クリック→エクスポートでファイルに保存します(ここでは"SystemFontLink.reg"とします)。
次に.wsbファイルを作成します。ここでは現在のユーザのドキュメントの下にWindowsSandboxというフォルダを作成し、その下にエクスポートしたファイルと、エディタで以下のようなXML形式のファイルを作成して置きます。.wsbファイルの文字コードはUTF-8(BOM付)かASCIIにしてください。
<Configuration>
<VGpu>Enable</VGpu>
<Networking>Enable</Networking>
<AudioInput>Disable</AudioInput>
<VideoInput>Disable</VideoInput>
<ProtectedClient>Enable</ProtectedClient>
<PrinterRedirection>Disable</PrinterRedirection>
<ClipboardRedirection>Enable</ClipboardRedirection>
<MemoryInMB>4096</MemoryInMB>
<MappedFolders>
<MappedFolder>
<HostFolder>%USERPROFILE%\Documents\WindowsSandbox</HostFolder>
<SandboxFolder>C:\Users\WDAGUtilityAccount\Documents\WindowsSandbox</SandboxFolder>
<ReadOnly>true</ReadOnly>
</MappedFolder>
</MappedFolders>
<LogonCommand>
<Command>reg import C:\Users\WDAGUtilityAccount\Documents\WindowsSandbox\SystemFontLink.reg</Command>
</LogonCommand>
</Configuration>
作成した.wsbファイルをダブルクリックすることで、ホストOSと同じフォントリンクが設定されたWindowsサンドボックスが起動します。ポイントは2つあります。1つ目は<MappedFolders>でホストOS上のフォルダをゲストOSにマッピングすることで、ホストOS上のファイルを参照できるようにしています(ここではホストOSの現在のユーザのドキュメントフォルダの下のWindowsSandboxフォルダを、Windowsサンドボックス上の既定のユーザ("WDAGUtilityAccount")のドキュメントフォルダの下のWindowsSandboxフォルダにマッピングしていますが、ホストOS、ゲストOSとも、どこに配置しても構いません)。
2つめは<LogonCommand>でゲストOSのログオン後にレジストリをインポートすることでフォントリンクの情報を登録しています。
これ以外の設定(特にメモリの割り当て)についてはWindows サンドボックスを使用して構成する | Microsoft Learnで確認してください。
注: Windows 11 22H2以降でWindowsサンドボックスが再起動にも対応していることがわかったため、一部の記述を修正しました。