まずSpring4Dのなかでマルチキャストを実現しているのはEvent<T>レコード型になります。これを使用するのに必要なユニットですが、Source\Baseフォルダにある
- Spring.pas
- Spring.inc
- Spring.ResourceStrings.pas
- Spring.Events.Base.pas
- Spring.Events.pas
- jedi.inc
では実際にEvent<T>でマルチキャストを試してみます。今回はメインフォームからモードレスなサブフォームをいくつか表示して、フォーム上のボタンクリックの発生と、その累計回数を各フォームに通知します。
まず通知のためのイベントと、イベントを登録/削除するインタフェースを定義します。
TNotifyNumberが通知のためのイベントハンドラの型、ISubjectがそのイベントハンドラを登録/削除する機能を持たせたインタフェースです。メインフォーム、サブフォームの両方で使用するので別ユニットで定義しておきます。次はメインフォームです。
メインフォームはISubjectインタフェースを継承するようにして、AddとRemoveを実装します。Event<T>はレコード型ですが、内部の適切な初期化のためにclass function Createを呼び出しておく必要があります。AddとRemoveでは単にEvent<T>のAddとRemoveを呼び出すだけです。一方サブフォームでは
メインフォームをISubjectとして保持するためのプロパティを用意します。これでメインフォームからサブフォームを生成、表示する処理は
となります。サブフォーム側ではボタンクリックで任意にマルチキャストイベントを登録、削除できるようにしてみます、
procedure DoNotifyNumberがマルチキャストイベントのイベントハンドラで、これをButton1/Button2のクリックイベントでSubjectにAdd/Removeすることで登録、削除します。最後にメインフォーム側からのマルチキャストイベントの呼び出しです。
Selfと1ずつ増える整数値(FCount)でEvent<T>のInvokeメソッドを呼び出すだけです(正確にはInvokeはイベントハンドラ型(<T> = <TNotifyNumber>)のプロパティで、Invoke(...)とすることでメソッドの呼び出しになる)。
Spring4DのEventがよくできていることもあってそれほど難しくはないと思います(気をつけなければならないのはclass function CreateによるEvent<T>の明示的な初期化くらい)。ただEvent<T>のTには通常のイベントハンドラ(procedure ... of object)だけでなく、無名メソッド(reference to ...)も入れられるのですが、この場合Event<T>で保持されるものが自動的に生成される無名メソッド値(TInterfacedObjectの派生クラスのインスタンス)であり、そのポインタをAddの呼び出し側(TForm2)では知ることができないためRemoveできない、という点には注意が必要です。
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