2009年8月27日

RAD Studio 2010の新機能その11

dbExpress/SOAP
WDSLインポートウィザードを含むSOAP 1.2サポートが追加されます。詳細はWings of WindさんRAD Studio 2010 Review #12: – Tooling, Help, UnicodeChris BensenさんRAD Studio 2010 - SOAP 1.2

DataSnap/HTTPサポート
DataSnapでプロトコルとしてHTTPを使用するときにサーバ側をISS+ISAPIのDLLで構成することができます。詳細はJim TierneyさんDataSnap 2010 HTTP support with an ISAPI dll

コンパイラ/Delphi
as演算子、is演算子でインタフェース参照から元のクラス(インスタンス)にキャストできるようになります。詳細はMalcolm GrovesさんCasting an Interface Reference to the Implementing Class in Delphi 2010

コンパイラ/RTTI
クラスやそのメンバに属性(attribute)を付加(annotate)し、RTTIでそれを取得することにより、実行時に属性情報による処理を行うことができます。詳細はMalcolm GrovesさんMore Attributes in Delphi 2010

IDE/リファクタリング
属性に対してもリファクタリング機能が使えます。詳細はMalcolm GrovesさんRefactoring Support for Attributes in Delphi 2010

DataSnap/JSON
DataSnapでTDBXCallbackを使用してサーバメソッド内からコールバック関数を呼び出すことができます。詳細はAdrian AndreiさんDatabase Connectivity : Don’t call me, I’ll call you…

2009年8月26日

RAD Studio 2010の新機能その10

ネタをためてしまうと駄目ですね。毎日少しずつでも書かないと…。
Database/dbExpress
dbExpressでFirebirdのサポートが追加され、BlackfishSQL、DataSnap、Sybase ASA (Adaptive Server Anywhere)、Sybase ASE (Adaptive Server Enterprise)、IBM DB2、Firebird、Informix、Interbase、Microsoft SQL Server、mySQL、Oracleといったデータソースを扱えるようになります(非常に残念なことにInterBase/FirebirdはProfessional SKUに含まれませんが)。またMidas.dllのソースコード(C++)が付属するようになります。詳細はWings of WindさんRAD Studio 2010 Review #10: – Database Jewels。またAndreano LanusseさんによるビデオもNew dbExpress driver for Firebird in Delphi 2010 and C++Builder 2010で見られます。

VCL/マルチタッチ
実機を使えば簡単にマルチタッチを扱うアプリケーションが作れますよ、というお話。詳細はTeam JapanさんDelphi 2010/C++Builder 2010: マルチタッチを試す

DataSnap/サーバ-クライアント通信
ウィザードでDataSnapサーバを簡単に作成でき、これを実行しておけばDataSnapクライアントから呼び出すサーバ側のメソッドをプロパティエディタ上からドロップダウンで選択するだけで簡単に呼び出しコードができてしまいます。またクラスインスタンスをJSONでシリアライズして転送することもできます。詳細はWings of WindさんRAD Studio 2010 Review #11: – DataSnap。またDataSnap上でのJSONの扱いかたについてはAdrian AndreiさんDatabase Connectivity : JSON Types for Server Methods in DataSnap 2010で、DataSnapを使用した軽量クライアントについてはTeam JapanさんDelphi 2010: DataSnapでOracle11gに接続するで、それぞれ詳しく説明されています。

RAD Studio 2010発売紹介ビデオ

RAD Studio 2010の発売にともなって公式ページがRAD Studio 2010 エヴァリュエーションセンターになり、RAD Studio 2010についてMichael Swindellさん(製品戦略担当副社長)とJan Libandさん(マーケティング担当副社長)が紹介するビデオが追加されています。2010の次はクロスプラットフォームと64bit対応、という方向性はまだそのままのようです。

2009年8月25日

W32.Induc その2

この件に関するFAQの翻訳がリリースされています。

W32/Induc-A Virus (Compile-A-Virus)に関するQ&A

単純に今回の(現在の)ウィルスだけを考えればこれでいいのかもしれませんが、このFAQにある対応をくぐりぬけるような変種は簡単に考え付きます。この問題を完全に回避するには、ライブラリパスにリストアップされているLib、Bin、Imports、Projects\Bpl、Lib\Indy10およびデバッグdcuパスにリストアップされているLib\Debug、Lib\Debug\Indy10のように既知のパスに既知のユニット名のdcuが格納されているものを全て置き換えられないようにする必要があります(例えばIndy10に属するユニットのmalware版をLibに配置すればこちらがリンクされてしまいますよね)。

そのための方法としては、常に削除+既知でない場所に配置したバックアップからコピーする、ということも考えられますし、あるいはハッシュを保存しておいてそれを比較して検証するようなことでもいいかもしれません。なにかツールを作成してみますか…。

Delphi 2010/C++Builder 2010/RAD Studio 2010リリース

予定通りDelphi 2010/C++Builder 2010/RAD Studio 2010が発売開始になりました。現時点ではESD(Electronic Software Distribution)版のみで、パッケージ版は2009/09/中旬予定とのことです。残念ながら開発環境からWindows 2000が外れてしまいました。あとは2009で導入されたPROFESSIONAL エディションおよび PROFESSIONAL ACADEMIC エディションの DB Express 配備制限に適用される追加条項の影響によりProfessional SKUでdbExpress経由のリモートデータベースアプリケーションが作れなくなったこともあり、導入は見合わせとはいわないまでも微妙です。本格導入は遠のいたかも…。

Delphi® 2010とRAD Studio™製品ファミリー新バージョンが 本日、世界同時発売開始、タッチサポートも搭載

License Terms for Delphi 2010, C++Builder 2010 and Embarcadero RAD Studio 2010
Delphi Prism 2010 使用契約

Embarcadero Delphi 2010 および C++Builder 2010 のリリース ノート
Delphi Prism 2010 リリース ノート

Embarcadero Delphi 2010 および C++Builder 2010 のインストール ノート
Delphi Prism 2010 のインストール ノート

RAD Studio 2010 Released!

2009年8月21日

W32.Induc

既に各所で報じられていますが、DelphiのVer4-7を経由して広がるコンピュータウィルスが報告されています。現時点での危険性は低いようですが、この手法を模倣したもっと凶悪なmalwareの出現の可能性を考えると、早期に対策するべきだと思われます。
まず確認方法ですが、Delphiのインストール先のLibフォルダにsysconst.bakが存在し、sysconst.dcuのタイムスタンプがつい最近になっているという場合、ウィルスに感染している可能性が濃厚です。この場合、Delphiをアンインストールして、Delphiのインストール先フォルダを完全削除し、再インストールするのが望ましいと思われます(再インストールが難しい場合は正常なsysconst.pasをコンパイルしてsysconst.dcuを再生成する方法もありますが、あまりお勧めしません)。
また対策としては今のところとりあえず怪しいプログラムをいきなり実行しない、ということぐらいでしょうか(sysconst.bakを作っておくという手はいつまで通用するのかわからないので)。Allen Bauerさんによれば、

私たちは、皆さんがこのウイルスに感染しているかどうかを調べる方法、そして、感染していた場合の推奨される対応方法についてまとめる作業を進めています。この推奨されるステップでは、皆さんが再感染しないようにガードされるように作業しています。

ということなので、正式なアナウンス待ちということで。当該ディレクトリをログオンユーザの権限で書き込みできないようにする、という手も考えられますが…。

ちなみに第一発見者はロシアのGunSmokerさんのようです。

参考URL:
Team Japan: Delphiをターゲットとしたウイルスの脅威について
Embarcadero Discussion Forums: Virus use old Delphi versions to spread ...
Symantec: W32.Induc.A
Sophos security analysis: W32/Induc-A Win32 executable file virus (Virus.Win32.Induc.a)
マカフィー: W32/Induc | ウイルス情報
エフセキュアブログ: 0wn1ng Delphi(0wn1ng Delphi - F-Secure Weblog : News from the Labの翻訳)
Viruslist.com: Analyst's Diary

2009/08/25追記: この件に関するFAQがリリースされています。すぐに翻訳されると思いますが、とりあえず英文のリンクを。
Frequently Asked Questions about the W32/Induc-A Virus (Compile-A-Virus)

2009年8月18日

RAD Studio 2010 スニークプレビュー その3

RAD Studio 2010の公式ページにスニークプレビュー第3弾"Make the Connection with RAD Studio 2010"(日本語版:"RAD Studio 2010のデータベース接続")が追加されています。内容は予告どおりデータベース/DataSnap接続関係です。
  • Firebird 2.1/1.5サポートの追加とInterBase 2009、Microsoft SQL Server 2008、Oracle 11g、MySQL 5.1のドライバの更新
  • DataSnapによるマルチティア接続
  • DataSnapサーバを簡単に作成
  • DataSnapサーバとクライアント間のデータストリームのフィルタリング
  • RESTful Web ServicesとJSONサポートの追加

これでいよいよ来週はリリースということに…あれ?カウントダウンがなくなってる…。

RAD Studio 2010の新機能その9

VCL/OnGestureイベント
TTouchManagerのOnGestureイベントにはジェスチャに関する情報、位置、アングル、距離、慣性(イナーシャ)ベクタがTGestureEventInfoレコード型で渡されます。例えばInteractiveGestureOptionsにigoPanInertiaを指定するとEventInfo.GestureIDがigiPanのOnGestureが連続して発生するようになります(最初の1回はEventInfo.FlagsにgfBeginが含まれていて区別可能)。詳細はSeppy BloomさんRAD Studio 2010 - Touch & Gestures Part 2

2009年8月17日

RAD Studio 2010の新機能その8

コンパイラ/RTTI
TCustomAttributeクラスを派生してカスタム属性を定義し、これをクラスやクラスのメンバに適用することで、RTTIを使用して実行時にその属性を取得できるようになります(でいいのかな?後で再確認)。これを利用してORマッパ(object-relational mapper)のようなものも作れます、ということのようです。詳細はMalcolm GrovesさんRTTI and Attributes in Delphi 2010Wings of WindさんRAD Studio 2010 Review #9: – Attributes, The new RTTI and DB Access

2009年8月15日

RAD Studio 2010の新機能その7

VCL/グラフィック
PNGとBMPでアルファチャンネルをサポートするようになります。TDirect2DCanvasでDirect2Dをサポートします。ジェスチャの形状をCanvasに描画することもできます。詳細はWings of WindさんRAD Studio 2010 Review #8: – And now some feedback from us

VCL/新しいユニット
Chris Bensenさんによる新しく追加されたユニットの説明です。Delphi 2010 - New Units

2009年8月13日

RAD Studio 2010の新機能その6

IDE/メニュー項目
表示メニューからメッセージペインが開けるようになったり、プロジェクトメニューからQA測定、QA検査が呼び出されるようになったり、コンポーネントメニューからWSDLインポータが呼び出せるようになったりします。詳細はTeam JapanRAD Studio 2010: メニューの地味な変更

VCL/タッチキーボード
VCLのTouchカテゴリのTTouchKeyboardコンポーネントで仮想キーボードを使用することができるようになります。ファンクションキーがないとか、日本語環境で標準的な109キーレイアウトではないとか、微妙な気がしますが…。Windowsキーがない件については"Microsoftのスクリーンキーボードとは違うアプローチを選択した(we decided to take a different approach to the Touch Keyboard than Microsoft did with their on screen keyboard)とのことです。詳細はTeam JapanRAD Studio 2010: タッチキーボードChris BensenさんRAD Studio 2010 - Touch Keyboard。Chris Bensenさんのコメントによれば、101/102/106キーボードレイアウトが入力ロケールにより選択されるが、アジア系言語は日本語だけで、中国語、韓国語、アラビア語は間に合わなかった、とのことです。

コンパイラ/delayed属性
externalな関数にdelayed属性を付加することでその呼び出しまでバインドを遅らせることができるようになります。詳細はWings of WindさんRAD Studio 2010 Review #6: VCL – Language enhancements for Touch and Gestures

VCL/WICサポート
WIC(Windows Imaging Component)をサポートするようになります(WICはWindows XP SP3以降で使用可能です)。BMP/GIF/ICO/JPEG/PNG/TIFF形式およびRAW形式の画像をWICで経由扱うことができます。詳細はWings of WindさんRAD Studio 2010 Review #7: – A historical moment

VCL/IOUtilsユニット
新しく追加されたIOUtils.pasでディレクトリの列挙やファイルの列挙をfor-in構文(と無名メソッド)で簡単にできるようになります。詳細はMalcom GrovesさんIOUtils.pas – OO File System Access in Delphi 2010。RANさん、情報ありがとうございます。

2009年8月12日

Microsoft Monthly Update 2009/08

今日はMicrosoftのセキュリティアップデートの日です。
MS09-036
MS09-037
MS09-038
MS09-039
MS09-040
MS09-041
MS09-042
MS09-043
MS09-044

2009年8月11日

RAD Studio 2010 スニークプレビュー その2

RAD Studio 2010の公式ページにスニークプレビュー第2弾"Free Your Customer From Keyboards with Dazzling Touch Based User Interfaces"(日本語版:"タッチベースのユーザーインタフェイスでキーボード操作から解放!")が追加されています。内容は予告どおりタッチ、ジェスチャなど"Natural Input"関係です。
  • タッチ対応
  • Windows 7のマルチタッチ
  • カスタムジェスチャ
  • 仮想キーボード
  • 既存のアプリケーションのタッチ/ジェスチャ対応

今回はChris Bensenさんの部屋からです。が、ん?オリジナルと日本語版で尺が違う…オリジナルは2分37秒、日本語版は8分49秒ってどういうことでしょう?

次回は2009/08/18でFirebird、DataSnapなどのデータベース接続についてとなっています。

ところでhttp://blogs.embarcadero.com/のwebサーバが落ちてます(2009/08/11 17:08JST現在)。pingは通るようですが。2009/08/12 10:20JST現在で復旧しています。2009/08/12 17:27現在でまた落ちてます。なんか不安定です。2009/08/13 10:20現在で復旧しています。

2009/08/12追記: オリジナルも8分49秒のものに入れ替えられています。

Delphi 2010 プレビュー その5 まとめ

2009/08/06に行われたDelphi/C++Builder次期バージョンプレビュー会のまとめなど。

まずここまで出てこなかった項目について。
  • 言語構成ツールでIDEのUIやリンクするライブラリの言語を切り替えられます。切り替えはインストール時に言語(英語、ドイツ語、フランス語、日本語)毎にインストール対象としたものから選択するようになります(例えば英語、日本語とインストールしておけばこの2ヶ国語間で切り替えられる)。

  • トランスレーションリポジトリについても、事前翻訳されたリポジトリが多数用意されており、自動翻訳を使用することで、より簡単に国際化アプリケーションを作成することができるようになります。

  • RTTIの拡張はProject ChromiumのライトウェイトORマッピングを実現するためにも必要だったようです。

  • クラスエクスプローラのクラス階層図はSVG形式でエクスポートできるそうです。

  • RAD Studio 2010はAll-AccessのInstantOn上で動作します。

  • Subversion対応は見送られたようです。VCSを組み込む上で必要なサポートはOTA上に用意されているようですが。

  • PostgreSQLは日本以外ではマイナーなので対応しないようです。QC41013が再度Openされたらみんなでvoteしましょう。

  • 発売は意地でも2009/08/25(PDT)らしいです。

プレビュー会でいろいろ見ての感想その他。
  • 言語構成ツールによる言語の切り替えのサポートは、日本語ユーザが英語を基本言語とする国際化対応アプリケーションを作成する上で嬉しい機能です。これで英語版dcuの取り出し、差し替えとか不毛なことをしなくて済みます。

  • 全体としては地道に細かい改善を積み重ねた、という印象です(全く新しいのはジェスチャ関係とTDirect2DCanvasくらいでは?)。マーケティング的にはWindows 7に正式対応、でしょうけれども。

  • DataSnapはもっと実用面を考えたプロモーションが必要だと思います。こういうシステムでこういうように使うと効果的ですよ、といったところを。

  • RAD Studio 2010は「買い」か?ですが、2009ユーザは「買い」でしょう。バグもたくさん取れているようですし。では2007以前のユーザにとってはどうでしょう?これはいつ"Unicode Ready"に移行するか、ということになりますが、次のCommodoreやDelphi Xで少なからず混乱する可能性を考慮すれば、2010は一つのタイミングだと思います(次の次くらいまでスキップするのも一つの見識ではありますが)。

  • All-AccessならDelphi 2007もDelphi 2009も使えますよ、というのはアピールするらしいです。

  • 製品ロードマップは早く更新したほうがいいと思います。

  • マルチタッチのデモに使ったHPのノートPCは前日に秋葉原で買ってきたそうです。

Delphi 2010 プレビュー その4 データベース

2009/08/06に行われたDelphi/C++Builder次期バージョンプレビュー会のまとめです。データベース関係。
  • dbExpress
    Firebirdサポート追加
    正式にdbExpressでFirebird 1.5/2.1に接続できるようになります。
    各データベースの最新版に対応
    InterBase 2009、Microsoft SQL Server 2008、Oralce 11g、MySQL 5.1に対応します。
    SQL Native Clientドライバ
    Windows 2000でも動作するSQL Native Client 2005用ドライバとMARS(Multiple Active Results Sets - 複数のアクティブな結果セット)サポートの追加。
    date/time関数
    ロケール依存書式文字列とロケールに基づくTimestampのオフセットのサポート。
    MIDAS.DLLソースコード
    MIDAS.DLLのソースコードが添付されるそうです。
    Web Service SOAP 1.2クライアントのサポート

  • DataSnap
    新規DataSnapサーバ、新規DataSnap WebBrokerアプリケーションのウィザードの追加
    HTTPコミュニケーションとインプロセスコネクティビティをサポート
    HTTPトンネリングサポート
    ファイアウォール外のクライアントで使用します。
    DataSnap HTTPリクエストのためのRESTサポート
    コミュニケーションストリーム処理のためのフィルタ
    フィルタリングのための新しいDataSnap APIとコンプレッションフィルタの追加。
    コールバックおよびJSON(JavaScript Object Notation)
    サーバメソッドでTJSONValueおよびその継承を受け入れ可能。
    WebサーバアプリケーションでDataSnapサーバをホスティング
    .NETプロキシ生成

2009年8月10日

RAD Studio 2010の新機能その5

IDE/クラシックスタイル
Delphi 2010のIDEをDelphi 7ライクなクラシックスタイルに設定する方法をAndreano Lanusseさん動画つきで説明しています。
Andreano Lanusse » How to configure Delphi 2010 to look, work, and feel like Delphi 7またはVideo: How to configure Delphi 2010 to look, work, and feel like Delphi 7から。

VCL/Delphi Natural Input
ジェスチャ、マルチタッチ、仮想キーボードなどの、従来とは異なる、あるいはWindows 7で新しく追加された入力であるNatural Inputのサポート。詳細はWings of WindsさんRAD Studio 2010 Review #5: VCL – Natural Input OverviewSeppy BloomさんRAD Studio 2010 - Touch & Gestures Part 1Chris BensenさんRAD Studio 2010 - Gestures and Multi-Touch。Seppy BloomさんによればGesturesカテゴリのTGestureListView/TGesturePreview/TGestureRecorderコンポーネントはジェスチャデザイナで使用しているものだそうです。

IDE/ソースコードフォーマッタ
ソースコードを指定したルールに従って整形しなおすことができます。詳細はTeam JapanRAD Studio 2010: ソースコードの整形

Delphi 2010 プレビュー その3 VCL

2009/08/06に行われたDelphi/C++Builder次期バージョンプレビュー会のまとめです。VCL関係です。
  • Delphi Natural Input

  • タッチ
    ベーシックタッチ
    一本の指でマウスのエミュレーションを行う。通常のタッチパネルでサポート。
    マルチタッチ
    二本以上の指でタッチした位置や距離を検知する。Windows 7以降のOSと専用のハードウェアが必要になる。
    ジェスチャ
    マウスやタッチの動きでジェスチャイベントが発生する。

  • ジェスチャ/仮想キーボード
    ジェスチャ
    独自実装のジェスチャエンジンをプラグイン可能(ジェスチャマネージャコンポーネントを配置するだけ)。特殊なハードウェアは不要。標準のジェスチャもカスタム定義したジェスチャも使用可能。カスタム定義も専用デザイナで簡単にできる。ジェスチャの割り当てはコンポーネント単位に指定できる。
    仮想キーボード
    TTouchKeyboardコンポーネントで仮想キーボードを実現。カスタマイズも可能。

  • Direct2D
    Windows 7のDirect2D/DirectWriteのサポート
    TCustomCanvasから派生したTDirect2DCanvasを使用する。
    TGraphicによるWIC(Windows Imaging Component)ラッパ
    TImageでTIFF形式をサポート

  • VCLの機能強化
    Gridコンポーネント
    テーマサポートの追加。
    IOUtils.pas
    新しいI/Oユーティリティクラスの追加。
    CM_INPUTLANGCHANGE
    言語の変更を通知するカスタムメッセージの追加。
    TIcon.AssignTo
    ビットマップへのアサインが可能に。
    Month Calendarボックスドロップダウン
    オブジェクトインスペクタで日付をカレンダで指定可能に。
    TCategoryButtonsコンポーネント
    インプレースリネーム機能のサポート。
    TCheckListBoxコンポーネント
    CheckAllメソッドの追加。
    PtInCircle関数
    Typesユニットに追加。
    TRichEditコンポーネント
    現在のカーソル位置を返すActiveLineNoプロパティを追加。
    Boolean型プロパティ
    オブジェクトインスペクタでBooleanをチェックボックスで指定可能に。


今日はここまで。

Delphi 2010 プレビュー その2 コンパイラ

2009/08/06に行われたDelphi/C++Builder次期バージョンプレビュー会のまとめです。次にコンパイラ、言語関係。
  • Delphiコンパイラ
    RTTI
    取得可能なRTTI(実行時型情報)が拡張される。クラス型やレコード型のメンバ(メソッドやフィールド、プロパティ)を実行時に知ることができ、メソッドの呼び出しも可能になる。RTTIユニットを使用する。RTTIなのでprivate属性のものは取得できない。
    カスタム属性
    [(属性)]でクラスなどの定義にカスタム属性を付加する。
    クラスコンストラクタ/クラスデストラクタ
    従来ユニットのinitialization部、finalization部で行っていたような処理をクラスコンストラクタ(クラスのロード時に呼び出し)、クラスデストラクタ(クラスのアンロード時に呼び出し)で行うことができるようになる。

  • C++コンパイラ
    FastMM
    (やっと)FastMMが標準のメモリマネージャとして組み込まれる。
    #pragma once
    VC++と同様にインクルードガードに#pragma onceを使用できるようになる。
    XML生成オプション -Zx
    __FUNCTION__マクロのサポート
    [[deprecated]]属性のサポート
    セキュア(..._s)関数
    VC++互換のセキュア関数が使用できるようになった。
    テンプレートクラスのための__declspec(dllimport)/__declspec(dllexport)
    実際には不具合の修正だとか。

Delphi 2010 プレビュー その1 IDE

2009/08/06に行われたDelphi/C++Builder次期バージョンプレビュー会のまとめです。まずIDE関係から。
  • 操作性の改善
    IDEインサイト
    [F6]で表示されるIDEInsightでキーボードから全ての機能にアクセスできる。
    コードフォーマッタ
    パラメータに従ってソースコードを自動的に整形(パラメータはDelphiとC++で別々に設定できる)。
    バックグラウンドコンパイル
    オプションでコンパイルをバックグラウンドで実行させることができる。バックグラウンドコンパイルを実行するとソースコードなどは一時的なスナップショットが取られ、エディタ上で編集を続行可能。C++はコンパイル時間が長いので特に有効。
    コードエディタ上の検索
    Firefoxライクな検索バーで検索候補をハイライト表示し、次候補([F3])および前候補([SHIFT]+[F3])の検索が可能になる。
    開き直す
    開き直すことのできるプロジェクトおよびソースの数、履歴を変更可能に。
    ユニットの使用
    IDEInsight同様にフィルタリング可能に。
    新規作成のフィルタ
    IDEInsight同様にフィルタリング可能に。
    XMLデータバインディングウィザードの改善
    ジェネリック構文のリファクタリングをサポート

  • デバッガ
    ビジュアライザ
    日付時刻型やTStringsクラスなどをデバッガ上でよりわかりやすく表示できる。
    カスタムビジュアライザ
    Open ToolsAPIでカスタムビジュアライザを作成して組み込むことができる。sourceディレクトリにサンプルとして標準添付ののビジュアライザのソースがある。
    スレッドデバッグサポート
    選択したスレッド内でのステップ実行やデバッグが可能になる。各スレッドの停止、再開を任意に指定可能になる。ブレークポイントのプロパティで特定のスレッドをターゲットにすることができるようになる。また各スレッドに名前をつけて区別するようになる(名前がないとWindowsがつけるスレッドIDで区別することになる)。

  • モデリング
    新しいlook&feelのモデル図、グラデーションによる塗りつぶし、項目間のリンクの作成機能などが追加
    検査/測定機能はモデリング機能を有効にしなくても利用可能になる
    C++のモデリング機能のパフォーマンス改善
    ダイアグラムエディタの強化

2009年8月8日

RAD Studio 2010の新機能その4

IDE/細かい改善
プロジェクトマネージャペインで並び順が指定できるようになったり、デザイン時パッケージと実行時パッケージのアイコンが区別できるようになったり、コードエディタペインのブレークポイントやブックマークが移動できるようになったりします。またIDEインサイトではフォームやデータモジュール上のコンポーネントを探したり、プロジェクトオプションを探すこともできるようになります。詳細はWings of WindさんRAD Studio 2010 Review #4: Project Management Enhancements

IDE/新機能紹介ビデオ公開
Andreano LanusseさんIDEの新機能を紹介するビデオを公開しています。Video: What's new in Delphi 2010 and C++Builder 2010 - IDE Featuresからも見られます。

IDE/ToolsAPI拡張
ToolsAPIが拡張されて、IDE上のドッカブルビューが(公式に)作成できるようになったり、エディタ領域に追加のビューを組み込めるようになったり、IDEインサイトのサポートが追加されたり、プロジェクトマネージャのローカルメニューへのメニューの追加のサポートが拡張されたり、IOTAProjectインタフェースで提供される情報が増やされたり、デバッガビジュアライザの作成と登録がサポートされたり、デバッガインタフェースが新機能をサポートするように拡張されたり、ビルドシステムからの通知がサポートされたり、IDEへのバージョンコントロールシステムのサポートが追加されたり、ToolsAPIからより多くのアクションにアクセスできるようにコードフォールディングのインタフェースが拡張されたりします。詳細はChris HesikさんRAD Studio 2010: ToolsAPI enhancements

IDE/ジェネリクス用のリファクタリングとヘルプインサイト
ジェネリクスに対してもリファクタリング機能やヘルプインサイトが有効になります。詳細はDarren KosinskiさんRAD Studio 2010 - Refactoring & Help Insight for Generics

2009年8月7日

C++0x規格案からConceptが削除された経緯

大詰めを迎えつつある(はずの)C++0xの規格案からConceptが削除された、というニュースは一部のC++0xウォッチャな人々に驚きを持って迎えられました。C++標準化委員会の偉い人であるDouglas Gregorさんによる理由と経緯の説明をhitoさんが翻訳してくださっています。C++0xに興味がある人は読んでおくべき。

What Happened in Frankfurt? « C++Next
本の虫: Douglas Gregor、フランクフルト会議について語る

2009/08/15追記: Bjarne StroustrupさんとDanny Kalevさんのやりとりもhitoさんが翻訳してくださいました。

本の虫: Bjarne Stroustrup、Conceptと未来を語る

RAD Studio 2010の新機能その3

IDE/アクションプロパティエディタ
プロパティエディタ上のアクションプロパティから新規アクションや標準アクションを便利に設定することができるようになります。詳細はChris BensenさんRAD Studio 2010 - Actions

コンパイラ/RTTI機能の拡張
新しいRTTIの拡張機能を使用すると従来取得できなかった情報をクラスやレコードから取り出せるようになります。しばらく前にDelphi-MLで質問が出ていたレコード型のフィールド名の取得もこれで可能になります。詳細は我らがTeam JapanDelphi 2010: RTTI新機能を試す

2009年8月6日

Delphi/C++Builder次期バージョンプレビュー会

Team Japan » 本日、Delphi/C++Builder次期バージョンプレビュー会

これから中目黒に行ってきます。実況はしませんが、随時更新の予定です。

18:00 準備完了。もう時間ですが誰か足りないような…。始まりました。
みなさん揃ったようです。というかいつもの人たちだけですね…。

FORUM 8さんのVRはヌルヌルに動きます。イケてます。OpenGLだそうです。

高橋さん登場でRAD Studio 2010のお話に。

時間オーバでバタバタしつつ終了しました。なかなか面白かったです。出席者および関係者のみなさん、おつかれさまでした。プレビューのまとめ、感想などは別途。

2009/08/07追記: 中継の録画が見られるようになっているようです。たぶんVRの凄さはこれではわからないと思いますが。
Delphi/C++Builder次期バージョンプレビュー会ライブ - 録画

2009/08/10追記: プレビュー会についてのリンクをまとめておきます。
Delphi 2010 プレビュー その1 IDE
Delphi 2010 プレビュー その2 コンパイラ
Delphi 2010 プレビュー その3 VCL
Delphi 2010 プレビュー その4 データベース
Delphi 2010 プレビュー その5 まとめ

2009/08/11追記: @ITさんの記事が出ています。
Delphi新版はタッチ操作のアプリケーション開発を可能に - @IT

RAD Studio 2010の新機能その2

IDE/ファイル|開き直すメニューの改良
IDEの[ファイル]→[開き直す]で保持されるプロジェクト、ファイルの最大数や実際に保持されているアイテムをエディットできるようになります。詳細はChris HesikさんRAD Studio 2010: Improved File|Reopen menuNick HodgesさんRAD Studio 2010 IDE Features: File|Reopen。日本語だとTeam Japan » RAD Studio 2010: ファイル・プロジェクトの再オープン

IDE/デバッグビジュアライザ
デバッグ時のローカル変数をよりわかりやすく表示できるようになります。日付時刻(TDateTime)や文字列リスト(TStrings)用のものは標準で付属しますが、OTA(Open Tools API)を利用して作ることもできます。詳細はWings of WindさんRAD Studio 2010 Review #3: Debug Visualizers.

2009年8月5日

RAD Studio 2010の新機能その1

RAD Studio 2010の新機能についての情報が続々と公開されています。ということで可能な限りフォローしてみます。
IDE/バックグラウンドコンパイル
Delphi/C++Builder 2010ではバックグラウンドでコンパイルを実行させることができるようになります。詳細はAndreano LanusseさんBackground Compilation in Delphi 2010 and C++Builder 2010

IDE/検索機能の強化
検索結果がコードエディタ上でハイライト表示されます。また検索ダイアログがFirefoxのように検索バーに置き換わりました。詳細はDarren KosinskiさんEmbarcadero RAD Studio 2010

IDE/IDEインサイト
IDE上で呼び出し可能な機能を集約して一覧表示します。詳細はNick HodgesさんRAD Studio 2010 – IDE Features: IDE InsightMark DuncanさんRAD Studio 2010 - IDE Insight Part 1。日本語だとTeam Japan » RAD Studio 2010: IDEインサイト

IDE/C++Builderクラスエクスプローラ
C++Builderでもクラスエクスプローラが使用できるようになります。またクラスの継承関係をグラフィカルに表示できます。詳細はDavid DeanさんC++Builder 2010 and the new Class Explorer。日本語だとTeam Japan » RAD Studio 2010: 帰ってきた C++ クラスエクスプローラー

IDE/スレッド指定ブレークポイント
ブレークポイントのプロパティで実行スレッドをIDまたは名前で指定できるようになります。またデバッガ上でスレッドを扱いやすくするためにTThreadクラスでスレッドに名前をつけられるようになります。詳細はChris HesikさんRAD Studio 2010: Thread-specific breakpoints

IDE/コンポーネントツールバー
(コンポーネントパレットではなく)Delphi 7以前のようなコンポーネントツールバーを使用することができるようになります。詳細はWings of WindさんRAD Studio 2010 Review #2: The new old Component Toolbar.Andreano LanusseさんThe old Component Toolbar is back and better in RAD Studio 2010、新しいツールパレットのほうが気に入ってるんだけどな、というNick HodgesさんRAD Studio 2010 — IDE Features: "Old School" Tool Palette。日本語だとTeam Japan » RAD Studio 2010: コンポーネントツールバー

IDE/プロパティエディタ
プロパティエディタ上でBooleanにチェックボックスがつきました。また日付型ではDateTimePickerライクなプロパティエディタが使えるようになります。詳細はChris BensenさんEmbarcadero RAD Studio 2010

IDE/ユニット表示、フォーム表示
ユニット表示([Ctrl]+[F12])、フォーム表示([Shift]+[F12])はIDEインサイトを使用するように変更されました。詳細はChris BensenさんRAD Studio 2010 - The IDE

ちなみにNick Hodgesさんの右隣の部屋はChris Bensenさん(シニアR&Dエンジニア)の部屋だそうです。

2009年8月4日

RAD Studio 2010 スニークプレビュー その1

EmbarcaderoのwebサイトにRAD Studio 2010の公式ページが登場しました。スニークプレビューの第1弾"RADically Reduce Development Time with RAD Studio 2010"はIDEの新機能についてです。
  • IDEインサイト
  • コードフォーマッタ
  • クラスエクスプローラ
  • データビジュアライザ
  • デバッガスレッド制御

次回のプレビューはタッチ/ジェスチャ機能についてで、2009/08/11に公開だそうです。またカウントダウンによればRAD Studio 2010は2009/08/25発売ですね(もちろんPDTでしょうけど)。

元ねたはMarco CantuさんのIDE Sneak Preview of RAD Studio 2010

2009/08/05追記: 早くも翻訳されています。
RAD Studio, C++Builder, Delphi Prism, Delphi 2010スニークプレビュー
Application Development with RAD Studio 2010 |Delphi , C++Builder & Delphi Prism

2009/08/05追記: RAD Studio/Delphi/C++Builder 2010は2009/08/25 00:00PDT(2009/08/25 16:00JST)からダウンロード版が購入可能になるとのことです。
Windows 7対応のDelphi/C++Builder新版が8月25日発売へ - ニュース:ITpro(要登録)

2009年8月3日

Micro FocusによるBorlandの買収が完了

2009/05/06の発表以来どうなることやらという雰囲気も漂っていたMicro FocusによるBorland Softwareの買収が2009/07/27に完了したとのことです。

Completion of Borland acquisition - Micro Focus

既に www.borland.com は www.microfocus.com にリダイレクトされるようになっています。と思ったら http://www.borland.com/jp/ はまだそのままですね…。

2009/08/03追記: Micro Focus Finalizes Borland Acquisition with Sweetened Deal -- Application Development Trendsによれば最終的に1株1.50USD、合計1億1千万USD(約107億円)で合意したそうです。